[将棋]『寄せの基本が身につく はじめての詰めろ』

『寄せの基本が身につく はじめての詰めろ』は、将棋の要素のひとつ「詰めろ」に特化した問題集です。

「詰めろ」とは「相手が何も対応しなければ、こちらの次の手で詰む」という状況のことです。

終盤戦での重要度で言えば

 詰み>必至>詰めろ

みたいな感じだと思いますので、勝利に直結する度合いで言えば「詰み」や「必至」よりもゆるめです(※ただし、「詰めろ」の連続で、最終的に相手玉を「受け無し」の状況まで持っていく、なんてこともありえます)。

ゆるめな分、相手玉にかけることのできる機会は「詰み」や「必至」よりも多いのですが、優先度でいえば「詰み」や「必至」の方が上のためか、「詰めろ」に特化した問題集というのは、あまり見かけません。

この本はそういう意味では珍しい一冊で、

  • 一手の詰めろが50×2=100問
  • 三手の詰めろが50問
  • 二択問題が50問

の計200問が収録されていたと思います(※一応、全問やりましたが、既に手元にないので……)。

ものすごく良書、という感じはしなかったのですが、そもそも「詰めろ」に特化した本自体が少ないので、そういった意味で貴重です。

「詰めろ」に触れたことがないけれど、一回、やっておきたい、といった方におすすめです。

 

フレーズたち(交換レンズのそろえ方)

レンズは撮る前からそろえてしまうと失敗する。

(河野鉄平著『フォトグラファーズ・ハンドブック 写真家のための必修基礎知識』より) 

ここで言われているのは、先回りしてあれやこれやと色々なレンズをそろえるようなやり方では、無駄金に終わってしまう可能性が高いということです。

メディアには交換レンズに関する情報があふれていて、よさそうなレンズが一杯あります。

しかし、実際には、自分で使う機会が少ないレンズや、自分にとって必要性の低いレンズは、そろえてもあまり意味がありません。

そこで河野氏の推奨する交換レンズのそろえ方は

まずは標準ズームレンズを使い倒し、そのレンズだけでは対応できないシーンや画づくりが生じた時点で、ほかのレンズを検討しよう。

というものです。

 

(※以下は同書の内容からではなく、筆者=ブログ主の考えになります)。

たとえば、標準ズームレンズで気になったものを色々と撮影していくうちに、もうちょっと遠くのものをアップで写したいな、とか、もうちょっと花を大きめに撮影したいな、と感じる機会が増えてきたとします。

前者の場合には、そのタイミングで望遠レンズや望遠ズーム、あるいは高倍率ズームを検討すればよいですし、後者の場合にはマクロレンズや、マクロレンズでなくても今持っているレンズより撮影倍率の高いレンズを検討してみる、という手があります(後者の場合には、レンズに取り付けることで近接撮影が可能になるクローズアップレンズなども選択肢のひとつです)。

このように、ご自身の写真ライフの中で、今持っているレンズでは対応できないようなニーズを感じてから、それをかなえるためにはどの交換レンズがよいのか検討する、というのが、失敗しにくい交換レンズのそろえ方、ということになるかと思います。

(レンズはよいものになると結構なお値段がしますから、できるだけ無駄な出費は避けておくのが得策です)。

 

若き日の細川貂々が自分の道へ一歩を踏み出すまでの実話漫画『どーすんの?私』

細川貂々(ほそかわ てんてん)は、かつて宮﨑あおい&堺雅人主演で映画化された実話漫画『ツレがうつになりまして。』などで知られる漫画家さんです。

この『どーすんの?私』は、そんな細川さんの若き日々を描いた実話漫画。

高校を卒業はしたものの、自分の道を見つけられず、宙ぶらりんのような状態になってしまった細川さん。

なんとか普通の人のように働こうとやってみるのですが、普通の人にはできることでも、なぜか彼女にはできないことがいろいろと……。

さらに彼女が行くことになった職場も、なにかしら特殊なところだったり、面倒くさい人間関係に巻き込まれてしまったりと、どうもうまくいかないことばかり。

そんな彼女が、ひょんなことから、先の見えないぐるぐるを抜け出して一歩を踏み出すまでが描かれています。

(※漫画の最後のページに描かれている矢印を見て なんのこと? と思われる方もおられるかもしれませんが、次のページの「おわりに」の最初を読めば分かります)。

興味を持たれた方はチェックしてみてください。

 

「 LIFE 」誌初の黒人専属フォトグラファーの伝記絵本『ゴードン・パークス』

ゴードン・パークス』は、「 LIFE 」誌で初の黒人専属フォトグラファーとなったゴードン・パークスの伝記絵本です。

(多才な方だったようで、映画『黒いジャガー』の監督なども務めています)。

読んだのは数か月前で、今は手元にないのですが、差別と差別がもたらすものへの作者の静かでありながらも厳しい目線が印象に残った一冊でした。

また、絵も内容のトーンと合っており、よかったように記憶しています。

興味を持たれた方はチェックしてみてください。

 

『ズレたシャッターチャンス 歩きながらの写真術』

『ズレたシャッターチャンス 歩きながらの写真術』は、写真家・丹野清志によるエッセイ集。

1975年の発行ですから、時はフィルムカメラ全盛で、フィルムカメラやフィルム写真の話しか出てきません。

しかし、レンズや写真などに関することはフィルム、デジタルにかかわりなく共通する部分があるようにも思え、興味深く感じた部分もいくつもありました。

興味を持たれた方はチェックしてみてください。

(※タイトルに『~写真術』とありますが、別に技法に関する本ではありません)。

 

[将棋] 行き詰まっている方に良さそうな一冊『初段最短コース』(内藤國雄)

内藤國雄九段の『初段最短コース』は、そのタイトルから受ける印象とは大きく内容が異なる一冊です。

普通、初段最短コースと聞くと、初段への距離を一気に縮められるような即効性の高い手筋や戦法などが書かれたもの、という印象を受ける方が多いのではと思うのですが、本書はそういった内容ではありません。

実際、第一部の冒頭の文章の中には、次のような一節があります。

本書は定跡書でも戦法書でも、また手筋の集録書でもありません。強いていえば、将棋の基本的な問題や根本的な考えといった点に触れたものです。読者の将棋感覚を養成して、その方面から棋力上達をはかるものです。

本書の内容は基本的にはこの文章のとおりで、将棋の持つ様々な要素・側面について著者の内藤國雄九段が考察を巡らしたり、これまでの経験の中で既に結論に至っていることを読者に伝えたりする、というのが主な内容となっています。

 

実際、「第一部 初段最短コース」の章立てを見てみますと

  • 第1章 手の感覚
  • 第2章 駒の感覚
  • 第3章 王将の感覚
  • 第4章 駒の展開
  • 第5章 投了図の研究

となっており、記憶すればすぐに使えるような手筋や詰み筋はどこへやら、といった内容です。

しかし、実はこのアプローチが、様々な有効な手筋や勝ちやすいと言われる戦法を覚えてきたけれど、もうひとつ伸び悩んでしまっているといった方には有効になる場合があるのではないか、ということです。

そして、そのようなアプローチの書籍を探しておられる方がもしいらっしゃるとしたら、本書はなかなかの良書だと思います。

 

ひとつ、ややこしいのは、本書は事実上の合本的な内容の書籍だということです。

本書は第一部、第二部と分かれているのですが、第一部にあたる部分は過去に出版された書籍『初段最短コース』の再録、第二部にあたる部分は雑誌『将棋世界』の過去の号に6年にわたって掲載された内藤國雄九段の講座の内容を抜粋し、再編集して収録したものです。

ですから冒頭の引用部の内容が当てはまるのは厳密には第一部のみということになるのですが、書籍全体の8割くらいを読んだ印象では、第二部も似たアプローチで書かれているという印象があります。

ちなみに「第二部 駒の効用」の章立ては

  • 第1章 角 その働きと感覚
  • 第2章 飛車 その働きと感覚
  • 第3章 香車の世界
  • 第4章 桂馬の世界
  • 第5章 金と銀
  • 第6章 歩の用法

となっています。

基本的に、それぞれの駒について書かれていますので、第一部と比べますと、具体的でとっかかりをつかみやすい面があります。

そのため、もし最初から読んで内容がつかみづらく感じられるようでしたら、第二部の中の好きな駒のところから読んでいくというのもありかもしれません。

 

筆者は第一部の「投了図の研究」と、各章に何か所かある「実戦解説」以外はほぼすべてに目を通したはずですが、参考になる部分がいろいろとありました。

このようなアプローチをお望みでない方におすすめはしませんが、興味を持たれた方はチェックしてみてください。

 

フレーズたち(発達障害などの子は「困った子」と見られがちだけど……)

あの子たちは

大人を困らせようとしているわけではないの

 

あの子たち自身が

自分の特性をうまく

コントロールできずに

困ってるの

 

困った子は

困っている子

なのよ

(漫画『発達障害と一緒に大人になった私たち』の「#09 よしこさんの場合」の後編より)

漫画『発達障害と一緒に大人になった私たち』は、作者のモンズースーさんをふくめた発達障害の当事者9名の実話エピソード漫画です。

ご紹介したフレーズは、一番最後のよしこさんのエピソードの中に登場します。

 

自らの発達障害に気づかず、また、誰からもそうであることを発見されずに大人になったよしこさん。

そんな彼女は、たまたま、発達障害の子などが通う通級指導教室に講師として配置され、発達障害の子の特徴などについて聞かされるうちに、自分も発達障害なのではないかと気づくことになります。

その特性のために過去にはいじめを受けたりしたこともあったよしこさんなのですが、彼女が講師をすることになったクラスにはいじめがなく、クラスの先生は子どもと同じ目線に立って寄り添っている。

そこでよしこさんはその先生に向かって何の気なしに、困った子ばかりなのにすごいですね、といった趣旨のことを言うのですが、それに対する先生の答えが冒頭に紹介した一連のフレーズです。

 

 困った子と見られてしまっている当の本人自身も、色々な行動などを引き起こしてしまう自分自身の特性とどうつきあっていったらよいのか分からなくて困っている、という視点をもってみると、また、ちがったものの見え方がしてくることがあるかもしれません。