『レッドデータカメラズ 昭和のフィルムカメラ盛衰記』は、広島のカメラ愛好家・春日十八郎が、自身が所有する大量のフィルムカメラについてまとめている一冊です。
本書の著者は1939年生まれ。工業高校出身の一級建築士で30代からカメラに興味を持ち始め、本書の出版時点までに集めたカメラは約3,500点、カメラ関係書籍は8,000点(ともに重複あり)。
巻頭の文章に
(前略)カメラの中には高価だった物もあるが、ほとんどは集めやすかった安価な大衆カメラたちである。
とあるように、一般人レベルの知識しか持ち合わせていないブログ主から見ると、あまり聞いたことのないカメラが並びます。
ちなみに目次は
1 タロンカメラ顛末記
2 サモカカメラ顛末記
3 岡田光学精機顛末記
4 ローヤルカメラ顛末記
5 ビューティカメラ顛末記
6 コーワ(カロ)カメラ顛末記
「土佐ダゲレオカメラ資料館」回顧録
表紙は語る 珍品カメラ登場
となっています。
内容的には、最初に各カメラのデータ(レンズ、シャッター、セルフタイマー、シンクロ、ファインダー、巻き上げ、フィルム、価格(※当時)、ケースの有無)が載っており、次に本文としてそのカメラ自体に関することや当時の時代背景、著者の個人的なエピソードやそのカメラに関する感想などが綴られています(各カメラによって文章量にかなりの違いあり)。
全体としての文章量が膨大なので、現時点ではところどころ斜め読みした程度なのですが、マニアならではの熱量と詳細さがあって、興味深く読むことができました。
また、相当数のカメラがカラー写真で紹介されているのもありがたいところです(昔のカメラなのでほとんどがシルバーと黒なのですが、光沢や質感、年代物っぽさなどはカラーでないと感じとるのが難しいところもあります)。
活字の組み方などはいわゆる大手出版社のような洗練された感じはありませんが読みにくさはなく、必要にして十分という印象です。
当時の時代性や昔の大衆カメラに興味・関心をお持ちの方、大量のアイテムに関するデータやエピソードを摂取するのが好きな方に良いのでは、と感じた一冊でした。
ちなみに巻末の著者略歴によりますと
(前略)十八郎は故春日八郎先生より生前にいただいた名前(後略)
とのことです。
レッドデータカメラズ昭和のフィルムカメラ盛衰記 [ 春日十八郎 ]
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