現代美術を展示する美術館の空間は余計なものがいっさいない。ニュートラルで自由な空気に満ちている。私がどのように展示したいのかその方向性がはっきりあれば必ずその壁面は写真をしっかり受け止めてくれる。
(石内都のエッセイ集『写真関係』収録の「美術館にて」より)。
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各地の現代美術館で自らの写真作品の展示を行なってきたプロ写真家・石内都のエッセイの一節。
なにかを展示するために提供されることを前提としてデザインされた空間の、個別の展示の際の方向性を決めるのは展示者(アーティスト)自身。
そして各展示者の方向性によっていかようにも表現できるようにとデザインされたその空間には、結果として、余計なものがなくニュートラルで自由な空気に満ちている……
方向性を展示者に委ねるために、あえて特化しないことに特化してデザインされた展示用の空間の意義と特徴が表現されているように感じた一節でした。