書籍「知る、わかる、できる! 将棋・基本手筋」について
「知る、わかる、できる! 将棋・基本手筋」は、将棋のプロ棋士、中座真(ちゅうざ まこと)七段の著書です。
まえがきによると、この本は
- 将棋の基本的な手筋をまとめた一冊
- 初心者の方が実戦で活用できる手筋を身につけられる内容を目指している
とのこと(大意)。
以下、全体の8割弱を読んでの感想ですが、実際にそういった本になっているような印象を受けました。
3段構えの分かりやすい構成
本書の特徴は、各手筋について3段構えで理解を深められるようになっているところです。
最初にテーマ図が掲げられ、それに基づいてその手筋の効果や注意点、実際に使う際の手順などが語られます。
次に類題が2問あるのですが、1問めは部分図、2問めは全体図と、段階を踏んで解いていけるようになっています。
そして最後に応用問題として、全体図を使ったより高度な問題が控えている、という形です。
この三段構えが、それぞれの手筋ごとにくり返されていく、という構成です。
収録されている手筋は、テーマ別に35個
私の数え間違いでなければ本書には35の手筋がとりあげられていますが、前半の第1章が「攻めの手筋」、後半の第2章が「受けの手筋」となっています。
そして各章の中で「駒得の手筋」「寄せの手筋」「攻めの速度を落とす」「攻防手」といった9つのテーマに分かれており、それぞれのテーマの中に「割り打ちの銀」や「底歩」といった個別の手筋が入っている、という形になっています。
こんな方におすすめ
基本的な手筋を身につけたい方や、手筋は知っているけれど実際の対局ではなかなか出せないといった方に良いのでは、と思います。
気になった点
読んでいて少し気になったのは、まれに問題の中に、初心者にとっては自力で正解にたどり着くのが難しいのでは、と感じるものがあったことです(主に一番最後の応用問題)。
正解にたどり着くためには、それ以外の手が不正解であると自力でわかる必要があるのですが、問題によっては
○○以下、長手順の詰みがあります
とか、
手順は長いですが、先手玉は寄り形です
といったものがあり、それらをきちんと読み切れないと確信をもって正解にたどり着くことはできないので、初心者にとっては少しハードルが高い問題も含まれているような印象を受けました。
が、その点を差し引いても良書の類に入る一冊だと思いますので、興味を持たれた方はチェックしていただければと思います。
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