わかってくれない…… が共通テーマの2冊の絵本

フランク・タシュリン作の2冊の絵本「ぼくはくまですよ」「オポッサムはないてません」を読んだのですが、わかってくれない…… という点が共通する作品だなと感じました。

1.「ぼくはくまですよ」

ぼくはくまですよ」は、冬眠していたくま(熊)の話。

くまが眠っている間にその上に工場が建ってしまい、目覚めたくまは工場の敷地内で途方にくれます。

そこで彼を見かけた工場の人は彼のことをさぼっている工員としか見てくれず、いくら「ぼくはくまですよ」といっても聞いてもらえません。

はたして彼はどうなってしまうのでしょうか……といったお話です。


ぼくはくまですよ (こころのかいだん) [ フランク・タシュリン ]
 

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2.「オポッサムはないてません」

森でニコニコ、幸せに暮らしていたオポッサム

ところがその森にピクニックに来た人間たちは、オポッサムを見て 悲しんでいる と思い込み、いくら幸せだと言っても聞いてもらえません。

オポッサムの意志を無視して、彼を幸せにするために町に連れていってしまう人間たち。

はたしてオポッサムはどうなってしまうのでしょうか……。


オポッサムはないてません (こころのかいだん) [ フランク・タシュリン ]
 

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感想

と、あらすじを見ていただいてお分かりのように、シチュエーション、展開ともに似通った作品です。

とにかく、他者の 分かってくれなさ が印象的で、少し悲しい雰囲気すらあり、そこが印象的でもあります。

とはいえ、いわゆるバッドエンドの作品ではなく、「ぼくはくまですよ」などはある種の すっきり感 もあるほどです。

ちなみに作者のフランク・タシュリンは、元々はアニメの関係者。

ぼくはくまですよ」の訳者あとがきによると

初期のルーニー・テューンズ作品を手がけ、一九三九年には、ウォルト・ディズニー・スタジオへ籍を移し、ミッキーマウスなどの脚本を手がけたと言われています。

とのこと。

その影響もあってか、どこかアメリカの昔のアニメっぽい絵柄になっています。

 

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トイカメラを使ったエモい(?)感じのフィルム写真による作品集「Holgascape THE WORK BOOK OF HOLGA」

HOLGAというフィルム式のトイカメラがありますが、「Holgascape THE WORK BOOK OF HOLGA」はその HOLGAで撮影された写真を元に制作された作品集です。

(※現在の HOLGAには、フィルム式のカメラ以外にデジカメもあります)。

巻末の青色ページに掲載されている「はじめに」によりますと

この作品集に掲載されている総勢20名が手掛けた作品たちは

ある共通した条件のもと、制作されたものです。

制作過程でHOLGAを使用すること、そして『たび』をテーマとしていること。

双方を満たしていれば作品の形態、表現方法、構成は自由としました。

(以下略)

とのこと。

そのため掲載されている作品も、HOLGA魚眼アダプターを付けて撮影したものや、コラージュ的なもの、ロックフェスやライブの写真を撮影したものなど、さまざまです。

HOLGAは元々、トイカメラのちゃちさから来る味のある写りが魅力のカメラですので、そういう意味で エモい と呼ばれるような作品が多く掲載されているかなと思います(微妙な表現になっているのは、エモい⇔エモくない は見る人の主観によるからです)。

巻末の青色ページには各制作者の方々による短文も載っていますので、掲載作品に興味を持たれた方はそちらも読んでみるのもよいでしょう。

ひとつ個人的に気になったのは、どこからどこまでがどなたの作品なのかが分かりにくいことです。

何ページから誰の作品、というのは載っているのですが、各ページにページ番号が掲載されておらず、かなり分かりづらいです。

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ショートショートのような読後感の子供向けの絵本『おさる日記』(2023/04/01更新)

作品紹介

主人公の「しんちゃん」は日本の小学校に通う男の子。

船のパーサーとして働いているお父さんが半年ぶりに帰ってきて、おみやげに小さなお猿をくれました。

まもなくお父さんはまた船に乗ってお仕事に行ってしまいましたが、「もんきち」と名付けられたそのお猿と「しんちゃん」との奇妙な日常が始まります……。

感想

いわゆる絵本なのですが、最後にオチがあって、ショートショートを読んだ後のような読後感でした。

ちなみに、文は和田誠、絵は村上康成です。


おさる日記 [ 和田誠(イラストレーター) ]
 

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『レッドデータカメラズ 昭和のフィルムカメラ盛衰記』

『レッドデータカメラズ 昭和のフィルムカメラ盛衰記』は、広島のカメラ愛好家・春日十八郎が、自身が所有する大量のフィルムカメラについてまとめている一冊です。

本書の著者は1939年生まれ。工業高校出身の一級建築士で30代からカメラに興味を持ち始め、本書の出版時点までに集めたカメラは約3,500点、カメラ関係書籍は8,000点(ともに重複あり)。

巻頭の文章に

(前略)カメラの中には高価だった物もあるが、ほとんどは集めやすかった安価な大衆カメラたちである。

とあるように、一般人レベルの知識しか持ち合わせていないブログ主から見ると、あまり聞いたことのないカメラが並びます。

ちなみに目次は

1 タロンカメラ顛末記

2 サモカカメラ顛末記

3 岡田光学精機顛末記

4 ローヤルカメラ顛末記

5 ビューティカメラ顛末記

6 コーワ(カロ)カメラ顛末記

 「土佐ダゲレオカメラ資料館」回顧録

 表紙は語る 珍品カメラ登場

となっています。

内容的には、最初に各カメラのデータ(レンズ、シャッター、セルフタイマー、シンクロ、ファインダー、巻き上げ、フィルム、価格(※当時)、ケースの有無)が載っており、次に本文としてそのカメラ自体に関することや当時の時代背景、著者の個人的なエピソードやそのカメラに関する感想などが綴られています(各カメラによって文章量にかなりの違いあり)。

全体としての文章量が膨大なので、現時点ではところどころ斜め読みした程度なのですが、マニアならではの熱量と詳細さがあって、興味深く読むことができました。

また、相当数のカメラがカラー写真で紹介されているのもありがたいところです(昔のカメラなのでほとんどがシルバーと黒なのですが、光沢や質感、年代物っぽさなどはカラーでないと感じとるのが難しいところもあります)。

活字の組み方などはいわゆる大手出版社のような洗練された感じはありませんが読みにくさはなく、必要にして十分という印象です。

当時の時代性や昔の大衆カメラに興味・関心をお持ちの方、大量のアイテムに関するデータやエピソードを摂取するのが好きな方に良いのでは、と感じた一冊でした。

ちなみに巻末の著者略歴によりますと

(前略)十八郎は故春日八郎先生より生前にいただいた名前(後略)

とのことです。


レッドデータカメラズ昭和のフィルムカメラ盛衰記 [ 春日十八郎 ]
 

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『写真家アルバート・ワトソン 名作を生み出す秘訣』

『写真家アルバート・ワトソン 名作を生み出す秘訣』は、著名な写真家であるアルバート・ワトソンが、写真に関連した自らの考え方やスタンスなどを20のパートに分けて開陳している一冊です。

 

アルバート・ワトソンは、1970年代から活動している写真家です。

雑誌『VOGUE』の表紙を100回以上担当、アルフレッド・ヒッチコックスティーブ・ジョブズといった数々の著名人のポートレートを撮影するなど、その経歴は華々しく、その作品はロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーやニューヨークのメトロポリタン・ポートレート・ギャラリーなどに収蔵されています。

また、ファッション写真やポートレート以外に風景写真や静物写真も手掛けており、フィルムカメラ以外にデジカメや Photoshopも活用しています。

 

本書は、そんな彼が写真に関連した様々な事柄について、実際に撮影した際のエピソードなども絡めながら綴っている一冊です。

実体験に基づいたその考え方には地に足のついたものがあり、興味深く読むことができました。

また、著者撮影の写真も多数、大きめのサイズで掲載されており、そちらの面でも楽しむことができます。

(※本書の表紙に使われている写真は特徴的ですが、掲載されている写真はオーソドックスな感じのものが多いです)。


写真家アルバート・ワトソン 名作を生み出す秘訣 [ アルバート・ワトソン ]
 

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『フィルムカメラの楽しみ方 カメラの知識、撮影から現像・引き伸ばしまで』

フィルムカメラの楽しみ方 カメラの知識、撮影から現像・引き伸ばしまで』は、フィルムカメラに関するムック本です。

初版が2016年ですから、既にデジカメやデジタル写真が世間に普及してからの出版になります。

そのため、あえてフィルムカメラで撮るフィルムカメラならではの魅力とは)といった姿勢がベースにある一冊となっています。

内容について

内容は全6章に分かれており、最初にフィルムカメラの基本について、2~4章が

それぞれ35mmフィルムカメラについて、二眼レフカメラについて、フィルム中判&大判カメラについて、5章が現像・プリントについて、最後の6章が実際にフィルムカメラで作品作りをされている写真家4名へのインタビュー(田尾沙織、一之瀬ちひろ、長野陽一、eric)です。

昔(デジカメ普及以前)の書籍のように35mmフィルムカメラや一眼レフに特化することなく、不便でわざわざ使わなくてもいいかも知れないけれど独特な魅力のあるフィルムカメラの世界について、いろいろなタイプのフィルムカメラの中から好きなタイプのカメラを選んで楽しむための情報を提供する一冊、という印象を受けました。

現像・プリントについて触れられているのも、それらがフィルムカメラユーザーの楽しみにとって非常に大きなウェイトを占めているからのようです。

全体の作りについて

全体に写真やイラストが多めで読みやすい作りになっています。

その一方で意外と情報も充実しており、たとえば(当時の)現行フィルム一覧では各フィルムに特性やおすすめの用途を表す一言コメントが付いています。

また、各タイプのカメラについても代表的なモデルがコメント付きで複数掲載されており、興味を持ったタイプのカメラを実際に購入する際の参考にしやすくなっています。

他にも現像・プリントに関連して著名なプロラボ(※現像・プリントをしてくれるところ)東京カラー工芸社(TCK)の社長とプリンターの方へのインタビューがあったりと、盛りだくさんの内容です。

フィルムカメラに興味があって、どんなタイプのカメラがあるのか知りたい方や、現像・プリントとはどんな感じのものなのか知っておきたいという方などにおすすめです。


フィルムカメラの楽しみ方 カメラの知識、撮影から現像・引き伸ばしまで [ Mosh books ]
 

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名探偵ポアロが登場するミステリー

BSでポアロ物の映画が2本放送されていましたので(『オリエント急行殺人事件』と『ナイル殺人事件』)、名探偵ポアロが登場するミステリーについて簡単にご紹介しておきます。

「ミステリーの女王」と称されるアガサ・クリスティが生み出した2大名探偵の1人 エルキュール・ポアロ(※ポワロの表記もあり)は、天才的な推理力を持ちながら、それゆえに自らに対するうぬぼれも強く、しかしその奥には人間愛や思いやりの心も持っているという特徴的な人物です。

(※もう1人の名探偵はミス・マープル)。

ポアロ物にはワトソン役としてヘイスティングスなる愛すべきキャラクターの男性が登場しますが、実はヘイスティングスが登場しないポアロ物も少なくなく、いわゆるバディ物の相棒のような存在ではありません。

アガサ・クリスティの作品は基本的に出来がよいものが多いので極端な当たりはずれはないと思いますが、もし「ポアロ物を読んでみたいけど、多すぎてどれから読んだらよいのか分からない」といったことがありましたら、

 

シリーズ第1作にしてアガサ・クリスティのデビュー作でもある『スタイルズ荘の怪事件

 

今やミステリーにおける古典ではないかと思われる『アクロイド殺し』や『ABC殺人事件

 

などがよいのではないかと思います。

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※『スタイルズの怪事件』『アクロイド殺害事件』等、微妙に異なるタイトルで翻訳されているバージョンもありますが、リンクは割愛しています。

 

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