野生のうさぎが主人公の冒険小説『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』

うさぎ年が間近に迫っているから――というわけではありませんが、ウサギが登場するフィクションを1冊、ご紹介します。

 

ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち

この話の主人公は、自分たちの村で平和に暮らしていた野生のうさぎ、ヘイズルです。

野生ならではの危険はありながらも、それなりに平穏な日々を送っていた彼だったのですが、友人のうさぎ、ファイバーが不吉な予感を感じたことから物語が動き出します。

ときたま未来の予兆を感じることができるファイバーによると、なにかとてつもない危険が彼らの村に迫っているとのこと。それから逃れるには、ただちに村を引き払うしかないというのです。

しかし、具体的にどんな危険がやってくるのかも分からないそんな不確かな話を、村の上層部に受け入れてもらうことはできませんでした――そしてヘイズルはわずかな仲間とともに、その晩、村から旅立つことを決意したのです。

生まれ育った村を離れた彼らの前に何が待っているのか、そして本当にその決断は正しかったのか――新たな安住の地を求めるうさぎたちの冒険の旅が、今、始まったのでした。


ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(上) (ファンタジー・クラシックス) [ リチャード・アダムズ ]
 


ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(下) (ファンタジー・クラシックス) [ リチャード・アダムズ ]
 

 

補足:世界観について

動物が主人公の場合、どういった世界観なのかによって、話のトーンが大きく変化します。

この話では、うさぎたちはうさぎ同士で会話することができ、伝説の英雄的なうさぎ、エル=アライアーに関する神話的な物語を伝承しているなど、ある程度、知能のある文化的な存在として描かれています(※ほかの生き物とも、ある程度の会話は可能)。

しかし、あくまでも野生のうさぎであり、ピーターラビットのように服を着て行動したりすることはありません。また、子供向けのアニメなどに登場するマスコットキャラ的な可愛さもありません。

そういう意味では、想定されている読者の年齢層は、ある程度、高めと言えるのかも知れません。

ちなみに記事タイトルを決める際に、この話を小説とするか物語とするか迷ったのですが、主人公たちの会話などが精神年齢的に子供向け作品よりも、若干、高めに感じましたので、「小説」としています(※本作は一般的には児童文学とされており、それは妥当だと思うのですが、児童文学の中にはいわゆる「子どもの読み物」よりも歯ごたえがあるというか年齢層が高めのものがあり、本作もそのひとつではないかと思いましたので、予断を防ぐという意味で「冒険小説」とさせていただいています)。

また時代設定に関しては、既に自動車が登場している近代が舞台の話です。ただし、ネットやスマホSNSなどは出てきませんので、最近ではなくネットやスマホが普及する前の話、ととらえていただければと思います。

 

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